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◆ナオミの充填物語 ビフォー・アフター◆ VOL.0079(2013年7月号)
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今月のテーマは「若い人の面接を通して最近感じていること」

当社のメンバーは、去年まで35歳以上の中途採用で入社して来た人がほとんどでした。それは、組織が確立するまでに経験者の力が必要だったからです。

今年になって、ようやく組織も出来上がり、これからは世代を繋いでいくためにも若い人の採用が必要なので、新卒・既卒者・一旦社会に出て事情があって早い段階で退職した人たちの面接を行い始めました。

そこで感じたことがあります。どこの会社でもよく言われていることではありますが、「今の若い人は、素直でいい人ではあるけれど、線が細い」ということ。まったくその通りで、どうしてこんな風な人たちが多いのだろうと思いました。

面接のときに当たり障りのない質問のときは、スラスラと答えるのに深いところの質問、たとえば「どう生きていきたいのか」 「なにを目指しているのか」などに対しては、とたんに口ごもってしまうか、適当に思いついたことを言ってしまう場合がほとんどです。

「なんとなく学校に行って、なんとなく就職活動をし、なんとか就職できると思っていたけれど、そんな簡単なものではないと、自分の甘さに打ちのめされています」と、口を揃えてその人たちは言います。

結局、自分の人生をしっかり考えて来なかった結果ではないかと思います。というより、そういう機会がなかったからではないかと思いました。

生きるとはどういうことなのか、働くとはどういうことなのか、知らないまま、考えないまま、いきなり社会に出てうまくいくはずがないですよね。大学卒業をしたと同時に無理やり異国に連れて行かれた感覚ではないかと思います。言葉、ルールが通じないような感覚。

そこでやっていける人というのは、社会に出るまでに大きな挫折をしてきたり、生きることにもがき苦しんできたり、理不尽な環境が長きに渡ってあったり、そこを乗り越えて来た胆力のある人たちではないかと思います。挫折をすると、いやでも人生を考えます。考えないとそこから抜け出ることはできないからです。辛いから、楽になりたいから考えるんですよね。今の自分を変えることを。

そのことによって、自分はどう生きるのかということを真剣に考え始める。そしてもがき苦しむ。そうすることで心の力が強くなって、人間としての深みが出てくるのだと思います。

けれども、今の若い人たちは苦労をしようにも、そのチャンスがない。たとえば親がとても理解があって親との葛藤があることが少ない。無難に苦労もなく来てしまっていて、心を鍛える場所がない。辛いことがあっても、逃げる場所がある。理屈の通らないことをあまり経験していない。など。

企業は、自分の言葉できちんと自分を語れる人を求めています。そういう人材は、真剣に生きることを知っているので、間違いなく会社を支えてくれるのが分かっているからです。どうすれば大きな挫折をしてこなかった若い人たちが、自分が希望する会社で働けるのでしょうか。

私は、中学、高校、大学の間に、本気で生きるとか、なぜ働くのかということについて考えることを自ら模索する必要があると思っています。しかしながら、今の教育の中では、そんなことを教えることは、ほとんどないと聞きました。だから、もう自らやるしかないのだと思うのです。本当は、会社に入ることが目的でやるのではなく、大事な自分の人生を豊かに、深いものにするために、するのです。

うすっぺらな人間にならないよう、心のひだが深くなるよう、せっかくの人生を実り多いものになるよう、しっかり考える習慣をつける必要があるのだと思います。面接で、若いのにしっかりしているなあと思う人がたまに居ますが、間違いなく大きな挫折を乗り越えて来ています。うちの会社には、とんでもない挫折をして来ている人が多いです。その人たちは、本当に精神がタフです。

「若い時の苦労は買ってでもせよ」という言葉がありますが、本当にその通りだと思います。楽を選んでは、成長はありません。心が強くなるには、辛いことを乗り越えるしかないんですよね。そうなったときに、ようやく楽になるものだと思います。若い人たちに本当に伝えたいです。なんとなく生きていては、もったいないです。楽に生きることばかりを考えていては、あとが辛いです。

おとぎ話の3匹のコブタのお話しにもありますが、3人兄弟の末っ子のウーがどんな強風にも倒されることのないレンガの家を作ることができたのは楽を選ばず、手を抜くことなく、地道にコツコツと積み上げていったからなんですよね。

自分は、どんな人生を送りたいのか。いつまでにどんな人間になっていたいのか。
そのためには、今なにをしないといけないのか。そんなことを出来るだけ早い段階から、しっかり真剣に考えて欲しいです。それは、しんどいことでもありますが、幸せな人生を送りたいのであればどうしても必要なことだと思います。どうか、一人でも多くの若者が、そして親たちが、そのことに早く気付いてくれることを願うばかりです。

私ができることは、微力ではありますが、出会える若い人たちに私の経験を通して学んだ、
「自分にしっかり向き合い、逃げない生き方」を伝えていくことだと思っています。